2019.11.25 好きでいさせてくれてありがとう


明日海りおが宝塚を退団した。

ポーの一族で宝塚にハマってからもうすぐ2年が経とうとしている。
気が多い私は他の組もたくさん観に行ったが、贔屓組は依然として花組だ。
れいちゃんとかマイティーとかホッティーとからいとくんとかたくさん好きな生徒がいるけれど、私が花組だけを何度も何度も観に行ってしまっていたのは、やはりトップスターのみりおさんのことが大好きだったからだと思う。

男役として舞台に立つ彼女を観ることができた最後の日、自然と涙が溢れてきた。
その時私の心の中は、みりおさんへの感謝でいっぱいだった。



「好きでいさせてくれて、ありがとう。」




それは、「好きでいることを許してくれてありがとうという」気持ちと、もう一つ、「素敵であり続けてくれてありがとう」という気持ち。
彼女は高潔さ、美貌、技術、とにかく全てにおいていつも私たちを失望させることなく高みを目指してきた。
その努力など見せることなく、舞台の上ではいつも完璧でいてくれた。
私たちの「好き」を奪わないために、みんなの心のきれいな部分を保つために、彼女は花組トップスターとして君臨し続けた。
その期間実に5年半。毎日毎日舞台に立って。プレッシャーと戦って。

その彼女が退団公演で歌う。
「ケサラ ケサラ ケサラ 僕たちの人生は
悲しみ痛み 笑顔で隠して 歌い続けることさ」
と。
こんなに説得力のある歌唱あるかよ〜と思ったね。

この世に、誰かのことをを好きでいられることほど幸せなことはない。
それは宝塚に限らず、ふつうの人間関係であっても。
そのことを明確な言葉にすることができたのは、今回の退団公演で、みりおさんが黒燕尾で降りてきた瞬間だった。
愛を伝えることは危険を孕む。
だって私たちは、その人のことを何も知らなくても大好きになってしまう。
それは相手にとって少し寂しいことだから、いつも気をつけなければいけないと思う。
だからこそ、その人の何かを知っていようが知っていまいが惜しみなく声を大にして好きと言えるスターとファンというこの関係を、私は美しく感じた。

素敵な君へ、好きでいさせてくれてありがとう。
いつかまた生まれ変わることがあるなら、その時も好きでいさせてほしい。
こんなわがままを聞いてくれるのは、君しかいないと思うから。
みりおさんのこれからの人生が、幸せで満ちたものでありますように。